株式会社リミックス、アンコールクッキーで奮闘する、起業家、プロデューサー 富永律子「りつこはん」の日々諸々

  1. Angkor Cookies
  2. 402 view

アンコールクッキー 其の四

カフェの売り上げを増やしたい

アンコールクッキーの社長就任前に、チョコレートを始めることと、カフェの活用を考えていた。

アンコールクッキーのお客様は日本人がほとんど。
日本人やアジア、中華系の人には近所や親戚、職場などにお土産という文化があるけれども、欧米人には人にお土産を買うという文化はほとんど無い。
自分のために買う。
また、日本人に比べ、欧米人は旅の滞在期間が長い。

カフェだけの利用も有り難い。
カフェで美味しければショップへの導線になる。
頭の中で案を巡らせながら、とりあえず朝食を初めてみてはどうかと考えた。

アンコールワットのあるシェムリアップにはカフェが多い、またレベルが高い。
そう聞いていたので滞在中の日曜日は市場調査と決め、朝食(ブランチ)を人気のお店に行くように努めていた。

特別ピンとくるメニューがないまま、ホテルと船の厨房経験があるスタッフになにか考えるように指示。
しかし3ヶ月経ってもなにも決まらない。

チョコレートも含め、半年以内に形にしたいと思っていた私は非常に焦った。
カフェのメニュー開発も工場で行うことを決めた。

まだ迷いが多い中、日本を代表するベーカリーの社長に朝食を始めたいと話したところ、「クロワッサンを焼いてみれば?」と提案された。

クロワッサンを作るハードルの高さは置いておいて、今あるオーブンで出来ること。
私の大好きなピエール・エルメは、パリでクロワッサンをメインメニューとしたカフェを開いていて、6月に行ったところだったので、大きな可能性を感じ「やってみます!」と答えた。
(ピエール・エルメと同じレベルで考えるのは私の馬鹿さ加減なのでご容赦ください)

IMG_4125

パリ6区のペエールエルメ本店前にオープンしたカフェのメインメニューはクロワッサン

IMG_4127

ピエール・エルメの迫力あるピスタチオ クロワッサン

 

食したことがないものを作ってみる

シェムリアップにもクロワッサンを販売しているパン屋はある。
ひとつ1ドルくらい。
日本に比べると安く思われるかもしれないが、カンボジア人の給与は日本人の10分の1。
200ドル前後が多い。

単純に考えると千円のパン。

スタッフはだれもクロワッサンを食べたことが無かった。

私が日本から持って行くとしても、出発前日に購入、翌日は夜到着で、翌々日しかスタッフに渡せない。
クロワッサンの食感が変わってしまっている。
まず、シェムリアップで手に入るクロワッサンをスタッフに渡して、これを作るよと伝えた。

10月に工場長と、工場スタッフのリーダーが日本に来ることになっていたが、来るまでに一度クロワッサンを試作せよと指示。
日本に製菓製パン専門学校出身のスタッフがいたので、学校のテキストのクロワッサンページをカンボジアのスタッフに見せた。

1

初めてアンコールクッキーの工場で作ったクロワッサンの写真が送られてきた

気合いだけでは作れないクロワッサン

10月に日本に来たスタッフ。

美味しいクロワッサンをたくさん食べ、素晴らしいお店の製造工程も見せて頂き、クロワッサンへの理解も少しずつ出来てきた。

私がクロワッサンに挑戦していることを、アンコールクッキーのカフェの立ち上げた方に話すと、「シーターはありますか?」と聞かれた。
シーター?
パンのことはなにもわからないので、聞くと、生地を伸ばすローラーのこと。
「手で伸ばしてます」と言うと「絶対無理」と。
スタッフに話すと無くても大丈夫だと言う。

日本に帰って家の近所のパン屋さんに再度確認すると、シーターは絶対必要だと言われる。
調べると値段もさることながら大きすぎて、手荷物で持っていけない。
機械を送ると数ヶ月止められると聞いていたので、なんとか持って行けるものはないかと探した。

ある人のブログの記事から、個人店向けのシーターがあることが判明。
その販売元を検索に検索を重ねて見つけた。

ショップに電話して大きさを聞くと、なんとか大きなトランクに入るサイズ。
「明後日主発なので、今日送ってください!」とお願いし、シーターが手に入った12月。
相当生地を伸ばすのに苦労していたようで、「楽です、楽です」と喜ぶスタッフ。
仕上がるクロワッサンも良くなってきた。

人に販売しても良いレベルなのか確認するため、私が帰国する日に焼いてもらい、持ち帰って近所のパン屋さんに見てもらう。
気になる点をチェックしてもらい、工場スタッフにフィードバック。
(ただの客なのにみんなを巻き込む私)

ようやく販売出来る形のクロワッサンになったのが今年の1月末。

プレーン クロワッサン、チョコレートバーを挟んで焼いたパン オ ショコラ、そして軽食用にハム&チーズ、カスタードクリームのサンドと4種類のメニューを2月から販売を始めた。

クロワッサン作りに3ヶ月かかった。

81913588_715031685689016_7467780201582166016_n

近所のパン屋さんで、バターが生地と一緒に伸ばせていないと指摘を受けてMessengerで送った写真。リモートは簡単なMessengerでのやり取りzoomでの定例ミーティングなど体制を作っていた。

2

1月末に撮ったクロワッサン

3

同じくパン オ ショコラ

IMG_9263

軽食用にハム&チーズ

IMG_9875

カスタードクリームサンドも作ってみた

 

おかずパン的な発想で

先月4月。
コロナで次、いつシェムリアップに戻ってこれるのかわからない中、ショップは閉め、カフェだけ営業を続けることを決めた。
(クッキー等はカフェで販売中)

観光客もいないシェムリアップ。
シェムリアップに住んでいる方に利用してもらえるようにカフェのメニューを充実させたかった。
帰国前日、プノンペンまでスタッフが送ってくれる車の中でもクロワッサンでなにが出来るか考えた。
高校時代、通学途中にあったパン屋の人気メニューからヒントを得た「コロッケサンド」。
バケットにあんことバターを挟む、「あんバター」が好きな私。
クロワッサンはバターたっぷり使っているので、そこに抹茶かき氷で作っているあんこを使うことを思いついた。
そして、オリジナルソースをたっぷりつけた「ビーフカツサンド」。

おかずにも、デザートにもクロワッサンが活躍するメニューが出来上がった。

Croissant Menu A3

スタッフが4月に作ったカフェメニュー。こちらのメニューはテイクアウト、デリバリーも可能です

試作を何度か行っていたクロワッサンのフレンチトーストは美味しかったけど、盛り付けが決まらなかったので次回に持ち越し。

カレーパンも作ってみたい、カスタードクリームを入れるクロワッサン生地をコルネ型に巻きたい。
やりたいこともまだまだあります。

次回は
カンボジア人にもうけるメニューを作りたい

 

 

 

Angkor Cookiesの最近記事

  1. 2022年2回目のカンボジア

  2. 半年ぶりのカンボジアで感じたこと

  3. アンコールクッキー 其の七

  4. アンコールクッキー 其の六

  5. アンコールクッキー 其の五

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。