観光客のいない、観光地シェムリアップの半年
4月5日に帰国してから私はカンボジアに行かなかった。
ソウル経由で入国は可能だったが、条件的にプノンペンで足止めになる確率が高く感じられ、怖くて行けなかった。
9月26日、成田からの直行便が出ることになり行くことを決断。
昨日入国し、プノンペンのホテルで現在PCR検査結果待ち。
同じ便の搭乗者に一人でも陽性が出たら14日間動けない。
飛行機乗る前にも準備が大変で、今年はこれが最後のカンボジアになるかもしれない。
シェムリアップに無事入れることを願っているが、現在のアンコールクッキーの様子を見る前に、この半年間の状況を書いておこうと思う。
前回のブログはは5月の連休中に、CEO着任後の商品開発について書いた。
よろしければあわせてご覧ください。
(アンコールクッキー 其の二~六)
自腹を切るスタッフ
3月末、ショップの売り上げがゼロを記録した。
観光客が入ってこられない状況には、スタッフの頑張りも効かない。
0、ゼロという数字は衝撃的であった。
完全に店を閉めるのかどうか。
でもどうしても閉めたくなかった。
オーナーにもお願いして、カフェだけ運営しようと決めた。
この状況がいつまで続くかわからない。
でも「希望」を残しておきたかった。
途中、あまりにも売上が少なすぎて、定休日を作ろうかと悩んだときもある。
でも気持ちの途切れを作りたくなくて年中無休のまま、Cafe Khmer Timeは今日も営業している。
9月になったら人が少しずつ戻ってくる。
そんな春の期待は吹き飛んだまま。
この時期にやるべきことは日本人だけではなく、地元に住む人のファンを作ること。
SNSの投稿にクメール語を増やし、地元の人に来て頂く作戦を考えたり、軽食メニューの試食イベントを開催したり。
簡単なことはなにも無かったけれど続けている。
それでも、店の前にあるホテルのヨーロッパ人のスタッフが、出勤日には必ずコーヒーを飲みに来てくれるようになった。
休みの日に家族と来てくれたり、子供のお土産にチョコレートを買ってくれたり。
そして、今はもう一人、仲間のスタッフと毎日来てくれる。
カフェでサービスしているコーヒーは焙煎にこだわっているらしく、ヨーロッパの人にとっても美味しいと。
シェムリアップに住む日本人だけではなく、韓国や中国の人たち、カンボジア人の方々が、日本の洋食メニューをオーダーをちらほらオーダーしてくださっている。
カンボジアの人はプノンペンからやってくる人も多い。
本当に嬉しい。
地元のファンは少しずつ作れているような「気」がするが、全くもって厳しいのが現実。
毎日送られてくる売上レポートには数ドルの売上の日も多い。
売上「1.5ドル」
そんな日のレポートには、「スタッフがアイスクリームを買って、売上を助けてくれました」と書かれている。
1ドルのアイスクリーム。
従業員は半額の0.5ドル(50セント)で食べられる。
でもカンボジア人の給料は日本の10分の1くらい。
50セントは500円くらいだ。
しかも現在、毎日出勤は出来ず、仕事を振り分けており、働いた時間しか給与は出していない。
そんな中で、二人、三人が売上を上げるためにアイスクリームを買っている。
実はカフェは一度も売上がゼロになっていない。
スタッフは何が何でもゼロが嫌なんだと思う。
売上0にならないように自腹を切っているのだ。
そんな彼らのことを思うと、うるうるしてしまう。

スタッフも大好きだ
新たな販売場所
そしてこんな状況でSNSの更新を続けていると、「うちで売りませんか」と北九州からやってきた観覧車Angkor Eyeを運営する会社の方からお声がかかった。
「この状況下、みんなで助け合いましょう」と。
見てくれている人がいるんだと感動した。
新たな売り場を設けてもらうことはスタッフには希望に繋がる。
シェムリアップの人は仕事を失っている人も多い。
でもシェムリアップにはカンボジアの国旗にも描かれている「アンコールワット」がある。
国内の旅行者もシェムリアップにはやってくる!
8月のクメール正月の休日(4月から変更になった)、9月のお盆のは地方からAngkor Eyeにお客様が集まった。
Angkor Eyeでは、Angkor Candyさんと一緒に商品を販売することになった。
私がシェムリアップに不在の中、Candy Angkorのオーナーが色々動いてくださった。
感謝しかない。
そして新たに友人が開業したSmart Angkor Boutiqueホテルのロビーにも販売場所を頂いた。
この状況下で弊社の存在を気にして頂けるのは、本当に有り難いことです。


今はプノンペンの市場が頼みの綱
また、カフェのメニュー用に作ったウスターソースとケチャップは小売り用の商品をリミックスと一緒にリモートで仕上げた。
シェムリアップで美味しい日本の味が楽しめるOHANAレストランでは、ケチャップをずっと使って頂いている。
そして、シェムリアップより人の活動が多く、在住日本人も多いプノンペンでは、小売り用のソースとケチャップをNyoNyumショップとriceballphnompenhさんで取り扱って頂いている。
NyoNyumの山崎さんはお弁当にもケチャップやソースを使って頂いていて、facebookにお弁当の写真がアップされる度に幸せになる。
また、プノンペンの販売にはローゼル・ストーンズ・クメールの西口さんにも応援してもらっている。
すべて手作りのため流通品より高くなるが、味を気に入って取り扱ってもらえるのはメーカーとして自信にもなる。
カンボジアで買える、オリジナルのソースとケチャップとして親しまれるようになればいいなと思っています。

オンラインツアー
現在海外旅行に行けない中、
オンラインツアーで店舗を紹介して欲しいとのお声がけも頂いた。
3月末にショップの庭に出来上がったクッキー作りを見てもらえる作業場、「ショールーム」のお披露目を8月の「あうたび」オンラインツアーで行った。
10月18日にも開催される予定。
今は来て頂けなくても、この状況が変わったとき、カンボジアに来られるようになったら是非来て頂きたい。
その願いしかない。

ここでクッキーの工程の一部をお客様に毎日見て頂く予定だった
私は現地に全く行けなかった半年だったが、通っていた9ヶ月より、カンボジアにいる日本の方々との繋がりが出来た半年でもあった。
苦しい状況が続きますが、これからもよろしくお願いします。
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