起業21年目の大チャレンジ
2022年4月21日、大阪市西区でパスタ工房兼飲食物販店舗のPASTA+(パスタピュ)を開業した。
「どうしてこんな時期に飲食?」とオープン当初、多くの友人経営者に問われた。
店のオープンまでの経緯や詳細はnoteで書いていこうと考えているが、ブログではどんな考えで店を作ったかを書いてみたいと思う。

個人店と小規模工場の間に価値がある
リミックスは、アパレル、美術館、ネットショップなど、顧客の拠点でオリジナルの商品(主に菓子)を企画、生産管理、販売(卸)まで行っている。
たくさんの工場に生産をお願いしているのだが、売り場で必要な量と工場の生産能力が合わないことが多い。
小ロット多品種になっている状況に、装置産業の菓子製造のロットが合わないのだ。
2,000枚くらいのクッキーなら10分で包装加工が終わってしまう。
工場に、無理なロットでお願いしている状況だ。
パティシエの手作業による商品のようなものを欲しても、材料調達、人件費等、卸販売するには価格が合わない。
小ロットで工場に製造を委託すると、味の選択が難しくなる。
機械特性にレシピをあわせる必要もあるため、年々小ロット化している市場で食感までこだわって、オリジナル商品を開発するのは厳しくなっている。
アンコールクッキーは夢の工場、そこに影響された
2019年7月、私はカンボジア、シェムリアップにあるアンコールクッキーのCEOに就任した。
アンコールクッキーについてはブログで色々書いているが、商品製造の工程を見た時、本当に驚いた。
パイナップルクッキーはパイナップルを剥いて、それをジャムにしてクッキー生地に練り込んでいる。
そして、手でクッキー生地を抜いている。
型抜きを機械でやるとしたら、とても無理な柔らかい生地で。
オーブンもトンネルオーブンではない。
リンナイのガスオーブンを何台も駆使して焼いている。
上記の様な製造方法だと、小ロットで製造が可能だ。
材料も手作りして商品をつくるアンコールクッキーについて、「夢の工場ですね」と言われたことがある。
味にこだわりながらも小ロットで製造出来、価格も市場性があれば、それは夢の工場に違いない。
パスタも、個人経営のレストランの手作業によるものと、大手製麺メーカーのものでは考え方、製品まったく違う。
小型のパスタマシンを導入することで、手作業よりも効率が良く、オリジナルレシピの商品の開発可能。
今までやってきたOEMではない、自社製造の小規模OEMに市場があるのではないかと考えた。

味わったものが持ち帰れる店
妹が住んでいたローマに毎年のように行っていたが、ローマには素敵な食材店で食べるというのも楽しみだった。
一番はRoscioli。
元々はパン屋さんから、食材店、レストランと食の宝石箱のような店。
もうひとつは今はなくなっているが、フランキーという食材や惣菜を販売しているお店で「立ち食い」が出来たのだ。
格好いいスーツの男性が、立ちながらステーキを食べているのが印象に残っている。
イタリア発のEatly(イータリー)のニューヨークのお店は食べ物に囲まれながら、食事が出来、パスタも中で作っている。
本当にワクワクする店だ。
食材を中心には出来ないが、食べたり、飲んだりしたものが帰る店にしたいと思った。
若いとき、美味しい紅茶を飲んで、買って帰れたカンテグランデも原風景になっている。
今回、満足いくオリーブオイルが見つからなかったので、自社で輸入したオリーブオイルはキッチンでも使っているが、それを購入してもらえるのも楽しいと思う。
カンボジアから輸入しているカシューナッツは、料理やデザートにも使っているが、テイクアウト出来るフィナンシェにたっぷり使っている。
大手商社ではないので、アイテムは少ないが、自社輸入のメリットを皆さんに提供したい。

イタリア人がホッとする味を基準に
今回、32年イタリアに住んでいた妹とパートナーでシェフの遠藤くんが、このプロジェクトに参加してくれた。
遠藤くんは、ローマにあったDoozo(コロナで閉店)のシェフを15年以上やっていた。
妹のDoozoの経営に5年ほど加わり、彼女のアイディアと行動力で、Doozoはローマでイタリアのグルメ本で一番評価される日本食レストランとなった。
妹がいつも考えていたのは、きちんとした日本食を出すと言うことだった。
日本から鰹節が入らない、イタリアで旨味やヴィーガン対応を考えて、大分からドンコ椎茸を自分たちで輸入していた。
彼らが帰国して日本食をやるのもいいが、日本でイタリア人がホッとする味のパスタや料理を出す店にしたいと。
リミックスの新規事業に参加して欲しいと口説いた。
私が商品開発を20年以上やってきて思うのは、「お客」での経験が重要だということだ。
妹は料理をするためにイタリアにいたのではない。
なので、お客として現地の味を長年体感している。
そして彼女の強みは、イタリア語が話せるだけではなく、「読める」ことだ。
イタリアのレシピの中には、配合、使用する原料の決まりがあるものがある。
そういうものを自身で調べられるというのは、強みでしかない。
そして、ローマのDoozoにはレベルの高いレストランのシェフや食材店のオーナー達が、日本食を求めてやってきていた。
こちらが日本でイタリアの味を広めることに全面的に応援してくれている。
ワインやオリーブオイルは、Doozoでの繋がりで紹介してもらった。

肉食の人もベジタリアンもヴィーガンも一緒に
イタリア人がホッとするレストランであることと、もう一つ、お肉を食べる人もヴィーガンの人も一緒にテーブルを囲める店にした。
これは私が所属している起業家機構のEO(Entrepreneurs’ Organization)での経験からだ。
私はベジタリアンとヴイーガンの違いもわからないまま、大きなイベントの食の担当になり、動物性タンパクを全く排除した弁当を作った。
食後にベジタリアンのメンバーがデザートをパクパク食べているのを見て、ベジタリアンが動物性のものを摂取することを知った。
卵と乳製品を食べる(人による)ベジタリアンはまだ選択技は多い。
しかし日本に来る友人の中に、1人でもベジタリアンやヴィーガンのメンバーが来ると、動物性スープ(鰹だし含)があちこちに使われていて、店選びに苦労する。
どちらかが諦めないような状況に陥りやすい。
世界中旅するドイツ人のベジタリアンメンバーに、どこで食べるのか聞いたところ「イタリアン」と。
イタリアンなら世界中にあるし、オリジナルメニューでヴィーガンやベジタリアンにも対応出来る。
皆が遠慮無く食べたいものを食べられる、そんな場所作りは私には必須だった。
「えんとえん」を紡ぐ場所
PASTA+はリミックスでは初めてのリアル店舗だ。
「場」を作るにあたり、妹のイタリアでの縁も多くあるが、私が日本で紡いだ縁もたくさんあった。
ドリンク類、野菜など、知らないうちに「縁が出来ていた」。
(仕入先についてはHPでも紹介している)
たくさんの人に助けられたリミックスは、現在21期目だ。
私たちが持っている縁を多くの人に繋げられる場所、また新しい縁をもらえる場所として活用出来るようにしたいと店舗の設計時から考えた。
店舗設計も、友人から縁をもらったcmykの吉里さん。
10年くらい前に知り合って、まさか設計をお願いするようになるとは!
私のやりたいことを根気よく聞いてもらい、素敵な店にしてもらった。
スクリーンを仕込んで、イタリアとオンラインでイベントを行ったり。
私自身が音楽をやっていて、発表する「場」が重要なことを身をもって知っている。
コンサートはまだ試していないが、絵を描いている人にはなにか役経つようなパイプを付けたり。
とりあえず、お店のオープンには自分で絵を発注したり、作品を購入して飾った。
その絵を楽しそうに見ながら食事している人、写真を撮っている人もいると嬉しい。
店で使っている農家さん達の野菜を販売するイベントも行っている。
毎月、なにか私たちを含めて、皆さんにも新しい「えん」が出来る場所にしていきたい。
2023年は自社製造商品の卸を
株式会社リミックスの、業種は「卸業」。
お客様のOEM商品を企画して作って販売していると、私自身はしっくりいっていないのだが「卸業」となる。
他社の作った商品ばかりを販売(卸)してきた。
今回、PASTA+を作ったことで、来年は自社で作った麺をBtoBで販売していきたい。
PASTA+は、「飲食」「販売(店舗、オンライン)」「製造(卸販売)」と3つの柱がある。
2022年は、店内飲食と店舗販売からスタートし、12月はなんとかオンライン販売までこぎ着けた。
来年は、BtoBを始め、それぞれをブラッシュアップしていき、2024年には次のステップを考えられるようになりたい。
まだまだ未熟な部分が多いが、変化を恐れず成長していきたい。
多くの友人が、このチャレンジを応援してくれている。
もちろん、心配してくれている人もいる。
コロナ(だけではないが)の苦難を乗り越え、5年後には笑いのネタになるようなチャレンジにしたい。
みなさまのご来店(リアルでもネットでも!)お待ちしております。
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