株式会社リミックス代表、PASTA+(パスタピュ)オーナー、起業家、プロデューサー 富永律子「りつこはん」の日々諸々

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私のEXPO2025

偶然、たまたまが重なって縁となる

偶然が重なって生まれたEXPOとのご縁

私にとって、EXPOの存在はずっと遠いものでした。
EXPOに関わる方々は何年も前から動かれていて、パビリオンの外で飲食店を出すには莫大な費用がかかるという話も聞いていたので、「自分には関係のない世界」だと思っていました。

唯一、イタリア館で配布される Accademia Italiana della Cucina のレストランガイドにPASTA+(パスタピュ)が掲載されると聞いていたので、「それを見た方が,店を知ってくださったら嬉しいな」くらいの気持ちでいました。


偶然の来店

2025年1月の終わりか、2月の日曜日の午後。
ラストオーダーの15時近くに、一人の紳士が来店されました。
その日はたまたま私も店にいました。昨年末に店の近くへ引っ越してきたばかりだったからです。

その方は注文した料理(多分ラビオリのトマトソース)をとても気に入られ、色々と話をしてくださいました。
「今度、万博のレストランを運営するんだ。海外から100人くらいスタッフを連れてくる予定で、その準備のために来日している」と。

うちの店の近くにある、お子さんを通わせるインターナショナル保育園の経営者に「美味しいお店は?」と聞いたところ、PASTA+を紹介されたとのことでした。

私はまだそのとき、万博のことを“他人ごと”として捉えていて、オリーブオイルやカシューナッツ、自社で輸入しているメープルシロップなど、PASTA+のコンセプトについて話をしていました。
名刺をいただき、ロンドンの彼のレストランを検索すると――それはとても素晴らしいお店で、「こういう歴史があるお店が何カ国ものケータリングをされるのか」と、ただただ感心するばかりでした。


すべての始まり

「また来月日本に来るとき寄るね」と言われ、本当に翌月、英国王室御用達レストランの経営者であるその方が、100人のスタッフを率いるイタリア人シェフとともに再来店されました。
英国王室、オリンピック、そして過去2度のEXPOを経験している彼らが、楽しそうに食事をしている姿を見て、少し安心したのを覚えています。


商品づくりの始まり

3月の終わり頃、メッセージが届きました。
「明日スタッフが店に行くから。カシューナッツの見積もりをもらえる?」と。

カンボジアから自社で輸入していることは話していましたが、一般卸はしていないため在庫も少なく、曖昧な返事をしていました。
それでも一応見積もりを送り、翌日クウェート館のスタッフが来店。
店頭に並ぶ商品に興味を持たれ、いくつか見積もりを依頼されました。

EXPO向けに商品供給できるか不安もありましたが、ナッツとドライフルーツは中東でも人気があるため、カンボジア製でも問題がないと言われ、開幕6日前に納品。
「これで終わりかな」と思っていたら――
「ピッカリリを作ろう」「スコティッシュ・タブレットって知ってる?」と話が進みました。


試作の日々

どちらも知らないものだったので、その日に調べてスタッフに試作を依頼。
正解が分からず、特にタブレットはスコットランド出身のシェフと何度もやりとりを重ねました。
日本ではスコットランドのレシピのものが売られていないため、砂糖の種類による酸味の違いまで細かく指摘を受けました。

ピッカリリは、以前アンコールクッキーを経営していた際のケチャップづくりの経験が大いに役立ちました。
それでも野菜の固さなど、こちらが考えるピクルスのイメージとはかけ離れていて、イギリス人シェフとのやりとりを行いながら、最後はシェフ遠藤くんの職人気質に助けられました。
最後には、遠藤くんが送料3,000円をかけて本場のピッカリリを取り寄せ、味を確認し、問題なしと判断。


デザインとこだわり

販売形態の決定やパッケージデザインは、創業以来25年間の経験が生きました。
瓶の形と蓋の色には、イギリスの空気を詰め込んだつもりです。
初めて買ったレコードアルバム――Queenの The Game
ゴールドよりもシルバー、いやプラチナのような輝きをイメージしました。

ピッカリリが販売にたどり着いたのは、5月に入ってからのことでした。
急かされつつも、自分たちのペースを守らせてもらえたのが本当に良かったです。

Living Hospality社のInstagramでアップされている彼らの商品はすべてリミックスでプロデュースしました。


6つのパビリオンへ

その後もLiving HospitalityのOEM商品づくりを続け、協力工場製も含め19種類を、英国・米国・スイス・カナダ・クウェート・アンゴラの6パビリオンに供給しました。
PASTA+は開店当初から「外にも届けられる商品づくり」を意識して設計し、惣菜・製菓などの許可も取得していたため、このチャレンジが実現しました。
EXPOだからこそ許された、小ロットで工房の挑戦でした。


すべての「たまたま」

なぜうちと組もうと思ったのかは聞いていませんが、最初に食べたパスタを気に入ってくださったのだと思います。あと私の話?
Living Hospitalityの社長フィリップは、多くの人にパスタピュを「ベスト・イタリアン・レストラン」と紹介してくれます。
高級だから、ラグジュアリーだから良いのではなく、ちゃんと作っていて、味がかなっているかどうかを見極めているのだと思います。
万博の最終日、彼と会場で話したのは、大企業ではないからこそアルティザンの商品作りをしないといけないと。

すべては偶然の積み重ねでした。
人通りの少ない大通り沿いに店を構えたこと。
近くにインターナショナルスクールがあったこと。
オーナーが偶然フィリップと同じスイス人だったこと。
そしてその日、たまたま私が店にいたこと。
製造許可を持ち、OEMの経験があり、デザインもでき、輸入商社との取引もあったこと。

数えきれない偶然が重なり、EXPO後も一緒に商品をつくることになりました。
そしてフィリップが子供の送迎時、短い時間でも直接打ち合わせが出来たのが、怒濤の6ヶ月をこなせた一番の偶然によってもたらせた幸運です。

万博終了後、ピッカリリは写真のようにラベルのデザインを変え、Living Hospality社とのコラボレートした商品として販売することになりました。

時を超えて

ちなみに私は1970年の大阪万博には幼稚園児として2回ほど行った記憶があります。
人生で初めてたくさんの外国人を見て、遠足で迷子になったことも覚えています。
父はことあることに、EXPO70は素晴らしかった、人生にインパクトがあったと話していました。

そしてフィリップのお父さんは、当時スイス館の料理長。
お父さんとお母さんが出会ったのもEXPO70.

55年ぶりに大阪で再び開催されたEXPO。
たくさんの偶然が重なり、EXPO70に影響を受けた親を持つ子供たちが一緒に仕事。
不思議で面白いご縁となりました。

偶然の出会いに、心から感謝します。

写真は万博の最終日、Living Hospality社が運営するカナダ館のショップ横で。左が社長のフィリップ、右がスコットランド出身のシェフロバート。

次回は、「EXPOだからこそ紹介できた素材や商品」について書いてみたいと思います。

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